限定承認
遺産相続するときに、被相続人(故人)の生前における知らざることが浮上してくることがあります。
普段の生活はまじめで無駄遣いもしないので預貯金もしっかりあると思い込んでいたら、いざ遺産存続となって遺産の整理を行うと預貯金はほとんどなく不動産も第三者の名義となっており、借地となっていたばかりか、多額の借金があることが判明し、マイナスの相続しかないことが判明することも珍しくはないことなのです。
原則、相続人は現金や不動産、株式といった利益となるプラスの相続だけでなく、借金などの負債や借金の保証人といったマイナスの遺産についても相続しなくてはいけません。
しかし、民法第五編第2章第2款に被相続人の財産において、マイナスの財産が多くプラスの財産内での相続することができない場合に、限定相続の手続きを行うことで、マイナスの財産についてはプラスの財産から相殺させることができるものとなっています。
ただ、明らかにプラスの財産をもってしてもマイナスの財産を補うことが困難な場合は、限定承認とせず相続破棄を行うほうが得策となります。
限定承認を行う場合、相続人が一人である単純承認であれば問題はないのですが、相続人が大勢ある場合は相続人全員の承認が必要となってきますので、簡単には限定承認とすることが難しいものとなります。
特に遺言書がある場合は、限定承認を行使することで遺言書の内容どおりの相続ができなくなることになるため、相続の問題を複雑化することがあります。