推定相続人の廃除
被相続人にとって自分の遺産を相続させるうえで、長男長女といった相続順序にとらわれず、最後まで自分の世話など尽くしてくれた人に相続してもらいたいと言う気持ちにかられるのは人情として不思議なことではありません。
遺言書は、民法の規定により相続順序にとらわれずに推定相続人に対する遺留分の配分を決めることができるものとなっています。
近年、人の寿命が長くなったことで、介護が必要となることが多くなっています。
高齢者介護の問題として、介護施設に任せきりで自分は介護にあたらない人が多くなっています。
それどころか、介護が必要な人に対する虐待も実際にあり、介護の現場において深刻な問題となっています。
遺産相続するうえで、こうし被相続人に対する虐待や介護放棄を行うなどを行う人に相続人として相応しいのか疑問を抱くのは当たり前のことになります。
民法第五編第2章第892条及び893条において、こうした被相続人に対する虐待などの問題行為があった推定相続人に対して、相続の順序などに関わらず相続から排除できることが示されています。
厳格には、被相続人の直筆により遺言書に虐待などの事実が明記されていれば、いかなる申し立ても棄却されることになります。
しかし、遺言書に明記がない場合では、相続人がこうした事実を裁判所に対して申し立てを行うことで、事実確認がとられることになります。
ただし、推定相続人が被相続人が生存中に虐待があることを訴えないと効力ありませんので注意が必要となります。